消費税のプラットフォーム課税について

消費税法の改正により、外国法人が日本国内の消費者等向けに行うゲーム配信等(アプリケーション、電子書籍、音楽の配信を含む)につき、2025年4月1日からプラットフォーム課税が導入されます。詳細は下記の通りです。なお、本コラムにおける外国法人とは、日本に恒久的施設を有していない外国法人を指している点、ご留意ください。
1. 消費税のプラットフォーム課税の導入前(2025年3月31日以前)
外国法人が日本国内の消費者向けに行うゲーム配信等の電気通信利用役務の提供(消費者向け電気通信利用役務の提供)については、その役務提供を行う外国法人が消費税の申告・納税を行います。
典型例として、アップストア、グーグルプレイ、ニンテンドーイーショップ等の配信プラットフォームを通じて日本の消費者にゲームを配信している外国法人は、当該配信プラットフォームを通じて日本の消費者から受け取るゲーム対価に含まれる消費税を日本税務当局に対して申告・納税する必要があります。
2. 消費税のプラットフォーム課税の導入後(2025年4月1日以後)
日本税務当局より指定された「特定プラットフォーム事業者」が運営する「デジタルプラットフォーム」を通じて、外国法人が行う消費者向け電気通信利用役務の提供については、当該特定プラットフォーム事業者が消費税の申告・納税を行うこととなります。よって、当該デジタルプラットフォームを通じてゲームを配信した外国法人側では消費税の申告・納税は不要となります。
なお、本コラム執筆時である2025年3月13日時点において、日本税務当局から、以下の配信プラットフォームがデジタルプラットフォームとして指定されております。
(1) iTunes株式会社
- アップストア
- アップルブックス
- アップルポッドキャスト
(2) アマゾンウェブサービスジャパン合同会社
- エーダブリューエス マーケットプレイス
(3) グーグル アジア パシフィック プライベート リミテッド
- グーグルプレイ
(4) 任天堂株式会社
- ニンテンドーイーショップ
3. ゲーム配信を行う外国法人に対する、プラットフォーム課税の導入による影響
2025年4月1日以降のゲーム配信については特定プラットフォーム事業者が外国法人に代わって消費税申告・納税を行うことから、当該外国法人の消費税コンプライアンス手続の負担は軽減されると理解いただいて良いと思います。
仮に、上記のデジタルプラットフォームのみを通じて、消費者向け電気通信利用役務の提供を行う外国法人であれば、2025年4月1日以降のゲーム配信について、消費税の納付額はゼロになると想定されます。但し、同日以降、特定プラットフォーム事業者から外国法人に支払われるゲーム対価から消費税部分が除かれることになると推察される点はご留意ください(消費税部分は特定プラットフォーム事業者から日本税務当局に納税されるため)。
なお、プラットフォーム課税により、デジタルプラットフォームを通じて外国法人から配信されたゲームの対価に含まれる消費税は日本税務当局に全て補足されることになろうかと思います。また、プラットフォーム課税導入前のデジタルプラットフォームを通じたゲーム配信について、外国法人の消費税の申告にもれがなかったか、日本税務当局から外国法人に対して調査が行われる可能性があると想定されます。
4. プラットフォーム課税の導入前の消費税の申告もれに対するペナルティ
プラットフォーム課税導入前のデジタルプラットフォームを通じたゲーム配信につき消費税申告書を修正した場合(または期限後に初めて申告した場合)の税務上のペナルティは以下の通りです。
(1) 税務調査により指摘を受けた場合のペナルティ
- 加算税:追加納付消費税額に対して10%から50%(ケースによる)
- 延滞税:追加納付消費税額に対して年率約2.5%から約9%(ケースによる)
(2) 自主修正申告の場合のペナルティ
- 加算税:追加納付消費税額に対して0%から5%(ケースによる)
- 延滞税:追加納付消費税額に対して年率約2.5%
よって、自主修正申告の場合には税務調査により指摘を受けた場合に比べて、ペナルティが大幅に軽減されることになります。
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