AWI Tax Consulting

FBAを利用して日本で商品を販売する外国法人に課される消費税

By Ryohei Yanagihara

FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用して日本で商品を販売する外国法人に適用される消費税の課税関係は以下の通りとなります。なお、当該記事における外国法人は、日本に支店等の恒久的施設を有していないことを前提とします。

(取引の概要図)

上記概要図に記載の通り、外国法人から日本の顧客への商品の所有権移転は日本国内で行われておりますので、外国法人には当該商品の販売につき課税売上が生じることとなります。
当該外国法人の消費税額は、外国法人の「課税売上時に預かった消費税(仮受消費税)」から「課税仕入時に支払った消費税(仮払消費税)」を控除することにより計算します。
以下では、Amazonから発行される収入支出サマリーに沿って、FBAに係る外国法人の課税売上と課税仕入を解説します。

  1. 課税売上
    以下の3件は外国法人の課税売上を構成します。

    1. FBAご利用商品の売上額
    2. 配送料(日本の顧客から受け取る配送料)
    3. ギフト包装料
  2. 課税仕入
    1. 輸入消費税
      日本に商品を輸入する際の輸入者が外国法人であれば、輸入時に支払った輸入消費税は、当該外国法人の消費税申告において控除可能です。
    2. FBAに関してAmazonへ支払う費用
      AWI Tax Consultingでは、FBAに係る各費用の課税仕入該当性につき、次の通りに考えております。

      • FBAご利用商品の出品手数料
        電気通信利用役務の提供に該当し、役務提供を受ける者である外国法人の本店所在地で内外判定を行う。よって、国外取引と判定され、外国法人の課税仕入に該当しない。
      • FBA配送代行手数料
        日本国内での配送(日本国内において直接便益が享受される役務提供)に対する対価であり、外国法人の課税仕入に該当する。
      • FBA在庫保管と納品に関する手数料
        日本国内に所在する在庫の管理および納品(日本国内において直接便益が享受される役務提供)に対する対価であり、外国法人の課税仕入に該当する。
      • 広告費用
        電気通信利用役務の提供に該当し、役務提供を受ける者である外国法人の本店所在地で内外判定を行う。よって、国外取引と判定され、外国法人の課税仕入に該当しない。
    3. その他の費用
      その他、関税専門家に対する報酬や税理士に対する報酬等がある場合には、報酬の性質に応じて課税仕入該当性を判定。

なお、消費税申告後、特に輸入消費税の先行発生により還付ポジションとなる場合には、国税当局からAmazon日本法人から発行される適格請求書や収入支出サマリー等の追加資料の提出を求められることがあります。よって、消費税申告書を作成する際に、消費税申告書がこれらの資料と整合しているかを予め確認することが望ましいです。

また、外国法人が消費税を申告・納税する場合の一般的な手続きは下記の通りです。

  1. 外国法人が納税管理人を選任します。外国法人は日本国内の拠点や日本の銀行口座を有していないことから、外国法人に代わって日本の納税手続を代理する者が必要になります。多くの場合では、外国法人の申告を担当する税理士が納税管理人を兼ねます。
  2. 外国法人の事業年度終了の日から2月以内に消費税の申告・納税を行います。通常、外国法人は日本の銀行口座を有しておりませんので、外国法人の銀行口座から納税管理人の日本の銀行口座に国際送金をした上で、納税管理人の銀行口座から日本の税務署に納付します。なお、消費税が還付ポジションであった場合には、税務署から納税管理人の銀行口座に還付され、納税管理人が外国法人の口座に返金します。
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